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第6回:強い腰痛により寝たきりになりかけたケース
今回は、整形外科の外来でよく見かける強い腰痛によりADLが低下して、危うく寝たきりになりかけた患者さんについてお話しします。
全国には推計で35万6千人もの寝たきり者がいます
まず、日本の寝たきり者の現状について確認してみましょう。1998年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査によると、在宅の6歳以上の要介護者数は124万3千人で、そのうち寝たきり者数は35万6千人(要介護者の28.6%)となっています。要介護者を寝たきりなどの程度別にみると、「まったく寝たきり」16万7千人(要介護者の13.4%)、「ほとんど寝たきり」18万9千人(要介護者の15.2%)、「寝たり起きたり」51万1千人(要介護者の41.1%)となっています。要介護者や寝たきり者の原因の第1位はいずれも脳血管疾患ですが、骨折・転倒は約10%程度で、高齢による衰弱に次ぐ第3位でした(図1)。
表1 男性 女性
1 脳卒中(25.8%) 骨折・骨粗鬆症(16.5%)
2 老衰(9.7%) 老衰(7.1%)
3 神経痛(6.5%) 眼疾患(7.1%)
4 けが(3.2%) 脳卒中(5.9%)
5 心臓病(3.2%) 心臓病(5.9%)
6 骨折・骨粗鬆症(3.2%) 神経痛(5.9%)
寝たきりになった原因は男女間で大きな差があり、男性は脳血管疾患が第1位であるのに対して、女性は骨折・骨粗鬆症が第1位となっています(表1:別々の統計のため図1と表1で原因疾患が同一ではありません)。このため、男性はメタボリックシンドロームの予防が、女性は骨粗鬆症の予防が重要だといわれているのです。
ただの腰痛でも対応次第では寝たきりになります
今回紹介するAさん(78歳、男性)は、脊椎圧迫骨折による腰痛のために一時は寝たきりになってしまいました。骨粗鬆症や脊椎圧迫骨折などで強い腰痛が出現した患者さんは外来でも頻繁に目にしますが、それらのほとんどは神経症状がないために入院の適応はないとされ、坐薬やコルセットを処方されて帰宅します。一昔前は、痛みが強く寝返りも困難な場合には入院治療を行ったものですが、入院期間の短縮が至上命題となっている昨今では、入院治療をしてくれる施設はごくわずかでしょう。Aさんも、どこにでもある症例で特に珍しいわけではありません。

Aさんは、2006年12月1日に、いすから滑り落ちてから腰痛が出現しました。近くの基幹病院で腰椎圧迫骨折と診断されましたが満床(?)のために入院はできず、内服薬を処方されて帰宅しました。内服薬を服用しているものの、強い腰痛のためにトイレに行けなくなり、すぐにオムツの使用を開始しました。数日のうちに痛みのために座位保持が困難となり、食事も寝たままでするようになり、受傷からわずか1週間でほぼ寝たきりとなりました。12月10日に背中と仙骨部に褥瘡ができたために往診を依頼されました。

初診時の診察では、強い腰痛のため寝返りもできずに仰むけで1日中寝ているため、背部と仙骨部に数カ所の表皮剥離ができていました。内服薬を変更したうえで坐薬を追加し、板の間に布団を敷いて寝ていたため、介護ベッドとエアマットを導入しました。家族に体位変換と介護の方法を指導して、徹底して体位変換を行うようにすると褥瘡は改善しはじめ、往診開始後1週間程度で褥瘡は完治しました。

12月26日の診察では、腰痛は軽快していましたが、自力での寝返りやベッドサイドでの座位保持、オムツ交換時のおしり上げなどができずADLの低下が著明であるために、ADLの向上を目的に訪問リハビリテーションを開始しました。翌年の1月中旬には座位保持が可能となり、2月にはポータブルトイレへの歩行が1人で可能になり、3月には室内歩行が自立しました。
このケースでは何が問題だったのでしょうか?
家族や基幹病院の医師の対応にも何の問題もありません。ただ、いくつかの問題が重なったために寝たきりとなったのです。
1.もともとADLが低下していて、室内はつたい歩行レベルであった。
2.ベッドではなく、板の間に布団を敷いて寝ていた。
3.本人も家族も体位変換の重要性を認識していなかった。
4.痛みがなくなるまでは、無理に座ったりせずにじっと寝ていることが必要だと誤解していて、食事も寝たままでしていた。

往診後も特別な対応が必要であったわけではなく、介護ベッドとエアマットを導入して坐薬を使いつつ体位変換を行い、ベッドサイドにときどき座ることを指導しただけです。板の間に寝ているなど普通は想像できませんが、往診はこのように実際に生活している状況が見られるために、生活指導上は大きなメリットがあります。外来では、なかなか生活環境がわかりにくいのですが、どのように暮らしているかを問診して、それらを意識して生活指導することは非常に重要です。

褥瘡はすぐに改善しましたが、Aさんは外出をほとんどしない生活だったためにもともと活動度は低く、約3週間の臥床で寝返りやオムツ交換時のおしり上げもできないほどに全身の筋力が低下してしまいました。さらに、本人のリハビリテーションに対する意欲も低いため、室内歩行が自立するまで約3ヵ月間を要しました。ふだんから散歩などの運動が適切に行えていれば、もう少し早く自立できたと思います。

■引用・参考文献
1)厚生労働省大臣官房統計情報部.国民生活基礎調査.1998.

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