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整形外科看護9月号掲載
在宅医療の現場から
第9回:悪性腫瘍に伴う廃用症候群
当院は整形外科の在宅医療を行っていますが、訪問リハビリテーション(以下、訪問リハビリ)に力を入れていることもあり、神経難病や脳血管障害などの神経内科的疾患に加えて、多くの廃用症候群の患者さんが紹介されてきます。

最近、悪性腫瘍に対する入院治療を行った後に歩行困難となる患者さんが多いことに気がつきました。変形性膝関節症や骨粗鬆症などの運動器疾患に伴う廃用症候群の患者さんにとってもそうですが、悪性腫瘍の患者さんにとって訪問リハビリはより重要であると強く感じるようになりました。

一般的には、悪性腫瘍であれば安静にして原疾患の治療に専念することが多く、リハビリテーション(以下、リハビリ)の対象にはなりにくい印象がありますが、私はまったく別の考えをもっていて、悪性腫瘍の患者さんにこそ訪問リハビリが必要ではないかと思います。今回は、多発性骨髄腫に対する入院治療後に歩行不能となった患者さんを紹介します。
多発性骨髄腫の入浴治療後に歩行不能となった患者さん
患者さんは83歳の男性で、強い腰痛と下肢筋力低下のために室内歩行が不能となり、ADLの向上を目的として訪問リハビリを依頼されました。多発性骨髄腫の治療のために2006年6月から約1ヵ月半入院していました。病状が安定したために退院となりましたが、退院直後には下肢筋力低下のために室内歩行さえできませんでした。もともと小児麻痺による四肢麻痺と歩行障害がありましたが、若いころから仕事もしており入院直前の日常生活は自立していました。
初診時の診察では、下肢の筋力低下とバランス障害のために立ち上がりにも介助が必要で、階段昇降は実施しておらず、屋内歩行、屋外歩行、外出はいずれも全介助でした(図1)。また、腰痛が強いためにMSコンチンを内服しており、長時間の座位保持も困難でした。すぐに週2回の割合で訪問リハビリを開始しました。初診後1ヵ月ごろからADLは少しずつ向上しはじめ、9ヵ月後にはADLの向上は著しく、階段昇降と外出は一部介助、屋外歩行は見守りレベルまででしたが、それ以外は自立レベルまで改善しました(図1)。

このように、ADLの向上というリハビリ導入の目的は達成することができましたが、それ以上に大きな収穫がありました。それは、日常生活を送っていくうえで重要な、患者さんや家族の精神的な安定です。

在宅療養している悪性腫瘍の患者さんが、明るく前向きに家族との関係を良好に保ちながら生活することは容易ではありません。治療や生活上の不安から、患者さんも家族もともに精神的に不安定になり、お互いがピリピリして妙な緊張感のある生活になることが多いようです。この患者さんは、2008年4月初旬に急変して入院し、治療のかいなく5月上旬に亡くなりました。それまで約1年10ヵ月間にわたって継続して訪問リハビリを行っていましたが、患者さんの病状や精神状態の変化には勉強させられることが多く、医師も理学・作業療法士も意識改革ができました。
たとえささいなことでも、ADLが上がったという実感が喜びになります
私が最も強く感じたのは、医療提供者側にとってはささいなことと感じられる程度の動作の変化でも、患者さんにとっては大きな達成感となり、明日のリハビリのモチベーションとなっていることでした。この患者さんは、1人で洋服が着られるようになったことや反動をつけずに立ち上がれるようになったこと、見守りで家の周りを歩けるようになったことをたいへん喜んでいました。また、座って食事ができたことを大泣きして喜んだ患者さんもいました。

私たちが、それほど意味があると考えないような小さな動作でも、昨日よりも今日が進歩しているという実感が喜びになるのだと思います。リハビリを通じて、小さいですが日々目標をもって前向きに生活できるようになるのです。そして、その小さな進歩や目標をうれしそうに家族に報告することで家族との会話も増え、良好な家族関係の維持に一定の役割をもったようです。

このように原疾患が悪性腫瘍でも、廃用による歩行障害を含めたADL低下に対しては整形外科がきちんと対応する必要があります。また、医療従事者にとってささいなことと感じられる程度のADLあるいは動作の変化でも、患者本人の精神的な安定に大きく貢献します。そのため、それを達成するためのツールとして訪問リハビリは非常に有用であると痛感しました。

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